トーニチ株式会社 様(福島県福島市)
機種を選定し終えてからも、テスト・試作を重ねた。テストの際は製造部長・実際製造をするメンバー等が立ち会った。「ここがこうなったらより使いやすい」「ここはこうすると効率が上がるのでは?」といった実際に作業をするメンバーの声を聞き、細かい部分で仕様をいくつか変えることとなった。
実際、仕様を変えた部分が現場でどのように活かされているのか聞いた。
1. 投入口を付けた安全カバー
粉と油を入れる投入口をミキサーの安全カバーにつけた。「粉や油が撹拌子の台座にかからずスムーズに落ちるよう、投入口の角度の調整にこだわった」という。常に混ぜたい量が定量しっかりと入るので、作業者がちょっとした心配もする必要がない点がよい。
2. 分解洗浄可能なスクレーパー
ビスがついておらず、工具を使うことなく分解・組み立てが可能なスクレーパー。衛生的に保てることと、組み立て作業が面倒ではないことがどうしても必須となる生産現場。「意見を伝えた営業の方だけでなく、設計・製造、研究室のメンバーでより良い物を考え、納得できる物を作ってもらえた」という。
実際使用している作業者が洗浄後のスクレーパーを数秒で組み立てる様子を見せてくれた。
「どうです?便利でしょう?」と担当者。
また、このスクレーパーにはもう一つ工夫が施されている。スクレーパー上部に一本のガイド「取り付け方向間違え防止棒」があるのだ。このガイドがあることで、スクレーパーを短時間でスッとミキサーに確実に取り付けられる。
3. ボール下部の持ち手
大型ミキサーはボールも重く、扱いを間違えるとケガにつながることがある。そこでボール下部に持ち手を設置。作業負担の軽減だけでなく、どう持とうかを考える時間も不要となり、劇的に作業がしやすくなった。
4. ミキサーボール台車位置決めガイド
ボール昇降時の誤装着などのヒューマンエラーがなくなるように、ボール台車を誰でも同じ位置に置けるガイドを付けた。ちょっとしたことだが、このガイドがあるのとないのとでは大違いだという。
取材を終えて…
現場の意見を吸い上げ、機種・改良部分を加える決断をした開発担当役員 鈴木 貴之氏と製造担当役員 本田 敏之氏。
「どこにも納めたことのない改良を加えた製品・部品ではあったが、改良するたびにテスト・試作をしていたので、納品時の不安は全くなかった。」「想像していた通り、改良した部分は現場で役立っており、なくてはならない存在となっている。無理なお願いかなと思いながらもお願いしてよかったと思っている」という。
お客様においしく質の高い物をお届けしたいという思い、社員の意見を大切にし反映させようとする思い、より良い物へと挑戦する気持ちを、今回話を伺ったお二人や会社全体から感じられた。
今回の製品・部品の改良にあたり、気づかされる点や発見が多くあり、愛工舎の経験や発展につながる意見も多くいただけた。お客様の提案を受け止め、どんなことでもまずトライしていく気持ちをこれからも持ち続けたい。
取材協力
トーニチ株式会社 様
所在地:福島市瀬上町字新田中通1-3
HP:http://www.tohnichi-web.co.jp/
学校給食を中心に病院食・外食の業務用事業を中心に展開している新鮮な果実を使ったバラエティに富んだ商品ラインナップ。